ピンクのランドセル*

18歳で地元を離れて上京していくつかの場所に住んだけど、今いる場所は今までで一番子どもが多い。やたらと多い。

昔からそういう土地柄なのか、隣接した位置に小学校が2つ。小学校の近所に小学校ってw 地元(田舎)じゃあり得ない。

もちろん、平日も休日もそこたらじゅうに子どもあり。最近のランドセルがカラフルなのは知っていたけど、近所の小学生たちを見る限り女の子は、赤・ピンク・水色が多いかな。あとは紫とか黒とかキャメル。ピンクはピンクでもベビーピンクだったりチェリーピンクだったり。デザインも、丸みがあったりハートの刺繍が入っていたり。見ている分には楽しいけど、選ぶのは大変そうな気もする。まぁ、ベースとなる「ランドセルの形そのもの」は基本的に大差ないのだろうけど。

そんな場所に住んで娘(1歳8か月)を育てていて、自分がランドセルを買ってもらった時のことを思い出した。

母、祖母、私でお店に行くと、何種類ものランドセルがディスプレイされており、「ランドセル」とひとくちにいっても「何から何までみんなおんなじ」ではないのがわかる。当時ランドセルのCMを見ていたから、その辺のことは何となく知ってたけれど、いざ目にしてみると「自分にとっての好き・嫌い」が生じてくる。ランドセルを縫製する糸が赤か白かで全然違う。

私が欲しいと思ったのはお店に1種類だけあった「ピンクのランドセル」。それは、ディスプレイの棚のいちばん端に飾られていたけれど気づくに決まっている。1つだけ色がまるで違うのだから。ピンクがあるって噂で聞いていたけど、本当にあるんだと興奮した。

 「これにする!」

私は早速母と祖母に自分の意思を伝えたが、2人とも渋い顔。やんわりと赤を勧めてくる。ピンクのランドセルを使っている子なんていないよ、と。

 「ヤダ。ピンクがいい」

私が応じようとしないからだんだん険悪な雰囲気になってきて、ほんと~~~に険悪になって、結局母と祖母が勝手に決めてしまった。赤にするならあたしに選ばせて! と訴えることはしたものの、いかんせん2人とも、さっきのことですっかり感情的になってしまっていて、娘(孫)の主張に耳なんか傾けてられなかったよう。もう、自分が6年も使うものなんだから(当時生きてきた人生と同じ長さ)、しかもほぼ毎日だっていうのに、メーカーくらい好きに選ばせろよって話だ。

 迎えに来た父親の車に乗ってからも、2人とも不機嫌で、「もう、亜衣をどっかの川に置いてきてよ」って父親に頼むフリ。はぁ、じゃあ何でランドセル買うんだよ・・・。

母も祖母もいわゆる古い考えの持ち主だったので、「女の子のランドセル=赤以外ありえない」し、ピンクなんて悪目立ちするだけだと思ったのだろう。彼女たちは田舎で生まれ育ち大人になり結婚して子どもを産んでいて「地元のしがらみ」や「世間体を意識する」ことを、何の違和感もなく当然だと受け止めていた。ま、今もそうですけど。ピンクのランドセルを買うなんて、断固反対するわけである。

私は渋々赤のランドセルを使うことにして、いざ小学校に入学すると、同学年にピンクの子は1人もいなかったし上級生にもいなかった。私が高学年の頃入学してきた1年生に1人か2人いたかもしれない。私自身は、選ぶ時すごく険悪になったわりにはピンクのランドセルに対する未練はさほどじゃなかった。どうしてもピンクのランドセルが欲しかったというより、自分の意思をないがしろにされたと感じて、当時の私は頑なになったのだ。

 と、そんな出来事をそこら辺の小学生を見ながら思い出すようになったけど、あの時の母、祖母の対応は価値観の押し付けだったし、誰のためにもならなかった。今振り返っても若干ムカついてくるし、今頃になってピンクのランドセルを背負っていたかったと思う。

例えば、

「ピンクのランドセルを使っている子は、同じ学校にあなただけかもしれないけど、それでもいいの? 1人だけ違うとか何とか、いろいろ言ってくる子がいると思うけどイヤにならないのね? ランドセルは買い替えができないよ。 誰に何言われても気にしないって約束できるんだったらピンクにしなさい」

とか、そんな感じのことを言うんだったら、私だって自分なりに考えていただろう。むしろいい機会だ。でも一方的に「赤!!」と決められればイラッとくるだろう。こういう衝突が起こりまくっていたから、実家との関係は良好じゃなかった。

ピンクのランドセルを買ってもらえなかったことを今でも根に持っているくらいだから、娘には自分の意思を大切にしてもらいたい(させてあげたい)と思っている。娘が小学校に入学するのは2021年。最近は購入時期が早いとあって、4年後の今頃には娘のランドセルは確定しているのかもしれない。早生まれ(3月下旬)の娘は6歳になってすぐ1年生。紫とか水色はやめてほしいかも・・・(本音)。