娘が幸せになれる確率?

仕事で恋愛、結婚、育児に関連した記事を書いているここ最近、ふと10年前、20歳の頃に聞いた話を思い出した。

大学で、産業心理学の授業があった。授業をしているのは当時30代後半くらいの男のT先生で、もちろん心理学を研究している人。ある日先生は、自分の上司のS先生という人(同じ大学の先生じゃないけど、心理学研究の先輩だったような)の話をはじめた。

S先生は几帳面で綺麗好き、デスク周りは常に整理整頓されている。ゴミを溜めたりもしない。そんなS先生にT先生は聞いてみた。家でもいつもこんな風に整理整頓しているんですか、家でも奥さんの家事を手伝っているんですか、と。

すると、S先生の答えはNo。いや、俺は家ではこういうこと一切やらないようにしてるんだと。なぜなら……娘が幸せになれる確率を上げたいから。

どういうことかというと……。

家で父が家事をしているのを見て育つことによって、娘は男が家事をするのは当たり前だと考えるようになる。もし将来結婚した時、夫が家事をしなければ相手に幻滅するし、夫が家事をしても感激しないだろう。でも、家で父が家事を一切しないのを見て育てば、男が家事をするのは当たり前とは考えず、将来夫が家事をしなくても落胆しないし、夫が家事をすれば「何ていい人♡」と感激するだろう、と。

つまりS先生は、娘が幸せになれる確率を上げるために、家では一切の家事をおこなわないのだと、T先生は話し、しかもT先生は「この人ここまで考えているんだ」とS先生に感心している様子だった。T先生の子どもは男の子2人で、娘はいなかったんだけどね。

当時の私は、うわ、心理学の研究者が考えそうな理屈だな~、くらいの感想しか抱かなかったけど、今思い出すとえぐい。あの時T先生は、女の子は男が家事するのを当たり前と思わずに育てば幸せになる(確率が上がる)、女の子は男の家事を当たり前だと思って育てば不幸になる(確率が上がる)→だから娘のいる夫は家事をしないほうがいい(だから将来結婚して娘が生まれたら、夫が家事をするのを当たり前だと思って接するな)という考えを、肯定したわけでもなく、大学生に擦り込むつもりもなく、ただ心理学をわかりやすく説明するために取り上げただけ(有意差とか、面倒くさい用語もある)のつもりだったのだろうか。